城山、金山、孔大寺山、湯川山へと連なる山域は宗像市、岡垣町、玄海町の境界をなしており、宗像四塚連峰と呼ばれる。 照葉樹林が豊かかなこの縦走路は低山であるが起伏に富んでおり歩き応えのあるコースである。
自然林が多いため四季を通じて楽しめるが、特に初夏の頃はキヌガサタケなどのキノコが出迎えてくれて一段と楽しい。
今回、梅雨時の雨の中、午後からの天気回復に期待し、キノコに会いにこの四塚連峰の縦走に出かけた。
雨の宗像四塚縦走(福岡県)
〜 福教大前−城山−金山−地蔵峠−孔大寺山−垂水峠−湯川山−門前 〜

【山行日】 2004年6月27日(日)  天気:雨
【コース&タイム】 教育大駅前(8:28)〜城山登山口(8:45)〜城山(9:18-26)〜石峠(9:53)〜金山南岳
(10:12-20)〜金山北岳(10:30-35)〜地蔵峠(11:8-18)〜孔大寺山(12:11-40)〜
垂水峠(13:33-40)〜無線中継所(14:15-24)〜湯川山(14:45-55)〜林道横断(15:26)
〜承福寺(15:34)〜門前バス停(15:50-16:02発)〜東郷駅(16:30)
【行動時間】約7時間20分
【主なピーク】城山(369m)、金山南岳、金山北岳(317m)、孔大寺山(499m)、湯川山(471m)
【交通手段】行橋駅〜教育大前(JR)、門前〜東郷駅(バス:\430)
【地図】「筑前東郷」「吉木」2.5万分の一 【メンバー】T、K

 アプローチ

縦走の起点となるJR教育大前駅
四塚縦走の登山口はJR教育大前駅を起点に歩くことができるため、公共の交通手段で行くことができ便利である。

6:27、行橋駅からJRに乗り込む。電車の窓の外は雨が容赦なく降り続いている。小倉で鹿児島本線に乗り換える。小倉駅のホームで同行のKさんと合流する。 軽やかに階段を下ってきた。赤間駅で乗り換え、教育大前駅に8:08到着。
外は相変わらず雨だが午後からの回復に期待する。駅の待合室でカッパを装着し、傘をさして出発する。
 教育大前から城山へ

雨に煙る城山に向かって行く。
県道69号線沿いの「城山登山口」の看板を右折し、緩やかな車道を登っていく。 目の前に雨に煙る城山が見える。雨はそんなに激しくないが、降り続いている。
住宅の中の道から山道に変わって車道を道なりにしばらく行くと、駐車場の広場のある登山口に到着する。 車ではここまで入れる。
この登山口には「名水」があるらしく、その水が目的でここまで来る人も多いようだ。
トイレと休憩所もある。

水場とトイレのある登山口
いよいよ縦走に取り掛かる。先ずは、城山への登りである。 丸木で整備された階段状の登山道を登って行く。途中、キヌガサタケを探したが見つからなかった。 照葉樹林の囲まれた登山道をジグザグに登ると、開けた城山山頂に出る。城山山頂は広々としており、大きな石灯篭が特徴的である。 山頂は樹木に囲まれており、残念ながら展望はあまりよくない。
山頂の隅に、縦走路を示す立派な標識があり、湯川山まで10.4Kmと記載されている。
雨は相変わらず降り続いている。カッパの下は既に汗でビッショリだ。雨の中、長い歩きが始まる。

広々とした城山山頂。大きな石灯篭がある。

孔大寺山・湯川山への標識。
 城山から石峠を経て金山南岳へ、そして金山北岳へ

鞍部の石峠。
先ずは城山から金山への縦走へ向かう。急斜面をどんどん下って行くと、鞍部の石峠に着く。 雨は結構激しく、樹林の中の縦走路はかなり薄暗い。
石峠から今度は登りとなる。急なジグサグ道を雨で滑りながら登る。 途中、キヌガサタケの玉子があった。時期的に少し早いようだ。登山道には青色の大きなミミズが時折、横たわっている。
ここを登りあげると金山南岳山頂である。南西方向が開けており、宗像市の町並みがよく見渡せる。
漸く雨が小降りになってきたようだ。ベンチに腰掛け、一息つく。目の前に雨にぬれたオカトラノオが白い花を開いていた。

金山南岳にて。宗像市が見下ろせる。

雨にぬれたオカトラノオ

金山北岳にて。目の前に孔大寺山が聳える。
南岳からは自然林の道を緩やかに下った後、再び緩やかに登ると、目の前が開けた金山北岳に到着する。昨年のこの時期は縦走路にはタマゴタケがいっぱいであったが今回は見当たらない。
北岳からは目の前に孔大寺山の堂々とした山容が迫り、登山欲をそそられる。雨が上がりつつあるのか、ガスが晴れてきている。
この縦走路はここからが本番である。目の前の孔大寺山を越え、さらに向こうの湯川山も越えねばならない。低山だが、アップダウンの厳しい縦走路だ。
 金山から地蔵峠を経て孔大寺山へ

かなり急な下り。雨で滑りやすい。
金山北岳から地蔵峠へ下る。ところどころかなりの急斜面を下ることになる。 特に今回は雨の中であるので、この急斜面はかなり滑りやすく神経を使う。 急斜面ではロープは設置されているので助かる。
急斜面を下ると県道291線が横切る地蔵峠の車道に飛び出る。雨は霧状に変わってきている。 生憎の雨であるので、ここまで出会った登山者は城山の登りの途中ですれ違った一組だけである。
孔大寺山の登りに備えて行動食をほおばる。車道を行く車が不審そうに我々に横目を送りながら通り過ぎていく。

地蔵峠にて。金山側への登り口を振り返る。

地蔵峠の車道。孔大寺山への登山口。

樹林に囲まれた孔大寺山山頂にて。
いよいよ本縦走のクライマックスの孔大寺山の登りへ取り付く。照葉樹林の中の急斜面をひたすた登る。 今まで快調であったがこの登りで急に足が出なくなった。前夜の酒のせいか、尿酸値を気にして水を飲みすぎたせいか。カッパの下で汗が吹き出る。 途中でKさんに先に行ってもらい、こちらはゆっくり登る。Kさんの姿はあっという間にガスの中に消えた。照葉樹林の木々の合間から差し込む光と霧が幻想的だ。
なんとか山頂にたどり着く。木立で囲まれた山頂の真ん中にKが待っていてくれた。孔大寺山頂は展望はほとんどきかない。雨の中、傘をさして昼食をとる。青いミミズがジワジワと寄ってくるのをじっと見つめる。
 孔大寺山から垂水峠と経て湯川山へ。そして、門前へ。

垂水峠にて。孔大寺山側の登山口を振り返る。
雨の孔大寺山は静かである。さすがに他の登山者は誰もいない。昼食をとり、漸く落ち着いた。

孔大寺山から垂水峠への下りはかなりの急斜面である。 金山から地蔵峠への下りよりも急である。この斜面も要所にはロープが設置してある。 雨の中、滑りやすくかなり下りにくい。この縦走路は雨に日は止めたほうが無難であろう。 マテバシイの木々が多くなると垂水峠は近い。

垂水峠にも国道495線の車道が走っている。車道沿いに地蔵さんが祀られており、その脇から湯川山への登りが始まる。

国道495線が走る垂水峠。湯川山への登山口。
いよいよ本縦走の最後の湯川山の登りに取り付く。孔大寺山で昼食をとったせいか、元気が戻りつつある。
見事なマテバシイの樹林の中の登山道を登っていくと、NTT無線中継鉄塔の前の舗装道路へ出る。このあたりで漸く、雨も上がってくる。

この中継鉄塔あたりの登山道が少しわかりにくい。舗装動を行かず、中継鉄塔のフェンス沿いの狭い間を行くと右手に登りあげる登山道が続いている。道なりに登っていくと、湯川山の山頂に達する。

マテバシイがいっぱいの登山道を登る。

無線中継塔の脇をすり抜けるように進む。

ガスに煙る湯川山山頂にて
湯川山山頂からは北側の展望が抜群であるはずであるが、今回は何も見えない。 天気が良ければ、眼前に響灘と玄海灘の海が広がり、波津海岸や松原海岸の綺麗な海岸線が東へ続き、 鐘崎の向こうに、地島、大島が見えるはずだが、今回は残念ながら見ることができない。 白いガスの向こうに、数年前、ここで雑煮を食べながら眺めた景色を思い浮かべた。

湯川山からは西方向の門前へ下る。鐘崎方面へ向かい、鐘崎の分岐を見送り、樹林帯の中の急坂を一気に下る。 この下りもかなり滑りやすいので注意が必要だ。

目の前が開け、承福寺駐車場へ出る。
樹林帯の急坂を下っていると、単独の登山者とすれ違う。本日出会う2組目の登山者である。林道を横切り、再び下って行くと目の前が開けた田んぼの道にでる。目の前が承福寺の駐車場である。
遠くに海が広がり、開放的な景色である。縦走も無事終了、雨も上がり気分もいい。ここからは、車道を道なりに門前のバス停まで歩く。途中、振り返ると歩いてきた湯川山からの山並みが見えた。 「たぶん、今日、ここを縦走したのは我々だけだね。」
門前バス停からはバスで東郷駅に帰る(\430)。

門前からのバス時刻表(2004年6月)

雲がかかる湯川山を振り返る。

「門前」バス停。


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