今週の1枚


No.164【2003.3.2】春雨の秋吉台 (山口県)


霧雨の中、冬枯れの草原に佇む石灰岩



冬枯れの草原は静かだった。


ガスの中、お鉢山・龍護峰へ向かう。



春雨の中、幽玄にひっそりと佇む長者ガ森


日本最大のカルスト台地・秋吉台。
一度は行ってみたいと思っていたが、なかなか行くことができなかった。
二十数年前、鍾乳洞・秋芳洞には行ったことがあるが、何故か草原には行かなかった。

今回、念願かなって秋吉台へ足を伸ばしたが、天気は生憎の雨であった。
野焼き前の冬枯れの草原は、春雨の中、とても静かだった。
広々とした草原に白いガスが流れ、周りの風景を隠していく。

私が見慣れたもう一つのカルスト台地「平尾台」との違いを最初に感じたのは、その広々とした地形的な 景観と草原に露出した石灰岩のピナクルである。

秋吉台は、平尾台の草原に比べると、なだらかに広々としており、開放感がある。どこまでも、その草原が続いているように。
そして、沢山のドリーネの窪みがなだらかな草原にその影を落としている。
平尾台は草原というより、所謂、山である。

草原に顔を出した数々の石灰岩。
平尾台の石灰岩は比較的その姿が白く丸っこく、その姿が草原に群れる羊に似ていることから、「羊群原(ようぐんばる)」と呼ばれる。

秋吉台の石灰岩は少しその色が黒いように思えた。しかし、これはこの日の天気が雨のせいだったかもしれない。
石灰岩ピナクルの決定的な違いは、その形であろう。
丸っこい形の平尾台に比べ、秋吉台のピナクルは鋭角に角張っている。
平尾台が女性的な石灰岩とすると、秋吉台は男性的な石灰岩であろう。
これは、太古の昔のカルスト台地の成因の違いに起因する。
平尾台はその昔、地下のマグマの高熱の影響を受けたため、石灰岩が結晶化しており、地上に露出した石灰岩が丸く風化・侵食されている。
また、マグマの高熱の影響で平尾台の石灰岩の中には化石は見られないが、秋吉台は沢山の化石が発見されている。

今回、秋吉台家族旅行村から、秋吉台の最高峰である龍護峰(426M)までの草原を雨の中、歩いてみた。
生憎の天候で、回りの景観はあまり見ることができなかったが、その広々とした草原は感じることができる。
天気がよければ、きっと素晴らしい草原が目の前に広がっていたことであろう。

野焼きが終わると、秋吉台も本格的な春を迎え、沢山の花々が咲き乱れることであろう。
今度は絶対に天気のいいときに訪れようと心に決めた。

撮影:2003年3/1


TOPページへ戻る 散歩道のTOPへ(過去の写真)