ドリーネの底の春・・・ ・4月の平尾台


平尾台の草原を高台から見渡すと、
いたるところにドリーネと呼ばれる 侵食された窪地がある。
カルスト台地特有の景観であり、大きいもの、小さいもの、
浅いもの、深いものなどいろいろなスリ鉢が口を開けている。
地上の空気を地下に吸い込んでいるかのように・・・。



そんなドリーネには樹木が覆い繁っていることが多い。
まるで、草原のオアシスのように。
ドリーネの底は危ない。
突如として、地下の暗闇の世界へ引きずり込まれる危険もある。



そんなドリーネのひとつに降りてみた。
鬱蒼とした樹木の中は、陽があまり差し込まず、昼でも薄暗い。
ひっそりとして、人の声も聞こえない。寂しいほどだ。
そんなドリーネの底にも春は確実に来ていた。
薄暗い底の片隅に、白い繊細な花をつけたヒトリシズカが咲いていた。
ひっそりと片隅で息づいていた。



別のドリーネに行ってみた。
ここには、平尾台では珍しく、水がたくわえられた池になっている。
緑色の水を深く溜め、静かな水面が佇んでいる。
ウグイスの囀りがドリーネに響き渡る。
岩の上に座り、しばらく水面を見つめていた。



ふと、回りの岩に目をやると、
黄色い花を咲かせ始めたヒメレンゲがしっかりと岩にはっていた。
明るい草原とはまた違った春がここにはある。
春の風が緑の水面を揺らした。



4月中旬の平尾台にて(2002年)


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